VRChat用にPCを自作した 【RTX3060・12世代core i5/Quest2】
この記事について
VRChatをプレイするために購入したPCパーツの紹介と、実際にVRChatをプレイした時にどのくらいパフォーマンスを出せたのか、私なりにまとめた記事になります。
実際に組んでみて気づいた改善ポイントも書いているので、VRChat用のPCを自作したい方の参考になれば幸いです。
目次
- 目次
- アバターとワールドの製作者様リンク
- PCを組もうと思ったきっかけ
- 要件を確認する
- 購入したパーツ
- パーツ紹介(必須パーツ)
- パーツ紹介(オプション・周辺機器)
- 実際にプレイしてみる
- VR用PCを組んでみて分かったこと
- さいごに
アバターとワールドの製作者様リンク
アバターリンク
VRChat内で使用させていただいている、アバターのBoothリンクです。
作者 はむけつ様
ワールドリンク
ブログ内の写真のワールドです。
作者 Atto_あっと様
『観測された、もう一つのプラットフォーム』
— あっと🍮 (@Atto_VRC) 2021年4月3日
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"今"を告げる神器と共に、"刻"の裏側へ
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「エデンプラットフォーム -Ritual for Eden-」 https://t.co/MR4Ei7dANI pic.twitter.com/NqYJfbkcgF
PCを組もうと思ったきっかけ
VRChatのquest版単体で色々ワールド巡りをしていて、PC版だと遊べる幅が広がる(PC版のみ入れるワールドがあったり、アバターの各種制限などもquest版と違う)ことを知り、VR用のパソコンを組むことにしました。
私について
2022年8月にVRChatを始めました。自作PCに興味があったりWEBアプリ開発をちょっとやってたりしましたが、VRChatとUnityとブログは初心者です。やさしくしてください
要件を確認する
VR用PCといっても、目的に応じて必要なものが違うので購入前に確認しておきます。
デスクトップモードとVRモード
PC版のVRChatを遊ぶ上で、プレイスタイルは大きく2種類に分かれます。
1つ目はデスクトップモード。こちらはVRゴーグルがなくてもPCがあればプレイ可能で、PCの要求スペックもVRモードより低いです。
もう1つはVRモード。VRモードはPCとHMD(ヘッドマウントディスプレイの略)を接続し遊ぶモードです。VRゴーグルならではの臨場感が体験できますが、その分PCの要求スペックは高くなります。
今回は、VRモードを10人~20人程のワールドで快適に遊べることを目標にパーツを選びました。
HMDはOculus Quest2(Meta Quest2)を使用します。
HMDの一例、Meta Quest 2(最近値上がりした)
VRモードの接続方法
VRChatにはデスクトップモードと、VRモードがあることがわかりました。PCとHMDを接続するVRモードですが、どのように接続するのでしょうか。
Questの場合は、2通りの接続方法が存在します。
文字だけだとイメージしにくいので図を作成しました。(間違えてたら教えてください)
Air link
- 無線接続(PCとHMD間)
- WiFiルーターから6メートル以内でないとだめ
- WiFi帯域は5GHz(acまたはax)
- PCとルーターがLANケーブルで接続されている必要がある
- PC動作要件がある(公式サイト)
Oculus link
私はAir linkで接続することにしました。遅延は私の環境では感じず、プレイ中に接続が失われたことは一度もありません。ただ、ネットワーク環境によって左右されるためご自宅の環境と相談することをおすすめします。
Oculus linkの場合、PCとQuestをつなぐlinkケーブルが別途必要になります。
公式からOculus linkケーブルが販売されていますが、価格は驚異の1万円超え。ただ、公式でない社外品のケーブルも使用可能です。
Ankerのケーブルは社内テストで良好な結果が出ているようです。予算に合わせて選ぶといいでしょう。(ケーブルにも要件があるので確認する必要があります)
Oculus Linkケーブルは、Meta Questアクセサリページから購入できます。
サードパーティ製ケーブルもお使いいただけます。サードパーティ製ケーブルは品質に差がありますが、Anker製ケーブルは社内テストで良好な結果が得られています。
自作かBTOか
私は価格を抑えるために自作しましたが、自作に不安がある方は保証などがしっかりしているBTOパソコンを強くおすすめします。
この記事はVR用にPCを自作しよう!という方に向けて執筆しているため、その点はご理解いただくようお願いします。
また、今回はPCの組み立て工程・組み立て方は割愛しました。この構成だとどのくらい遊べるのか?ということに重点を置いた記事になります。
購入したパーツ
VRChatだけ遊ぶことを目的とした限界構成です。予算の問題でメモリを16GBにしましたが、32GBの方がいいでしょう。
必要に応じてCPUクーラー、ストレージをアップグレードするのもありです。CPUクーラーはリテールクーラーを使用しました。
パーツ | 詳細 | 価格 (2022/9/26時点) |
---|---|---|
CPU | intel core i5 12400F | ¥25,480 |
GPU | PALIT RTX 3060 | ¥46,780 |
マザーボード | GIGABYTE DS3H DDR4 | ¥12,980 |
メモリ | G.SKILL 16GB | ¥5,390 |
SSD | シリコンパワー NVMe 512GB | ¥5,980 |
電源ユニット | ASUS TUF-GAMING 650W | ¥6,980 |
CPUグリス | 親和産業 SMZ-01R | ¥715 |
PCケース | Deepcool MACUBE 110 | ¥4,618 |
OS | Windows 11 Home | ¥16,268 |
合計 | ¥125,191 |
パーツ紹介(必須パーツ)
CPU
¥25,480(2022/9/26時点)
CPUはコスパ○の12世代i5をチョイスしました。
UnityとVRChatを起動しながら軽くアバターの編集をしてみましたが、もたつくことなく処理を行ってくれて満足です。予算に余裕がある方はcore i7、Ryzen 7あたりにグレードアップするのもおすすめです。
リテールクーラーを使用すると、温度が低くても割とファンの音がうるさいのが気になりました。CPUクーラーをDeepcool AK400や虎徹 MarkII等に換装してあげると静音PCが組めるかと思います。
型番の末尾にFがついているモデルは、内蔵グラフィックスが非搭載となっているため購入時には注意が必要です。
GPU
PAliT NVIDIA GeForce RTX 3060 12GB
¥46,780(2022/9/26時点)
GPU予算が5万円以内で、なおかつVRChatをプレイしたいならGPUはRTX 3060一択です。
VRChatというゲームはVRAMの要求量が激しく、プレイ中にVRAM使用率を見ても8GBを超えているシーンがしばしばあります。15名ほどのプレイヤーが居るワールドでおしゃべりしていた際のVRAM使用率は8.8GBほどでした。
RTX 3000シリーズのVRAM搭載量を見てみると
GPU | VRAM | 価格 (2022/9/26時点) |
---|---|---|
RTX 3050 | 8GB | ¥32,000~ |
RTX 3060 | 12GB | ¥47,000~ |
RTX 3060 Ti | 8GB | ¥65,000~ |
RTX 3070 | 8GB | ¥70,000~ |
RTX 3070 Ti | 8GB | ¥78,000~ |
RTX 3080 | 10GB/12GB | ¥93,000~/¥125,000~ |
RTX 3080 Ti | 12GB | ¥130,000~ |
(価格は参考程度に見てください)
RTX 3060は上位グレードの3060Ti、3070シリーズよりもVRAM搭載量が多くなっています。VRChatプレイ用途なら、3060Ti、3070シリーズよりも3060がおすすめと言えます。
いくら予算をかけてもいいからVRChatのパフォーマンスを出したい!という人は3090/3080シリーズや次世代の4090/4080を待っても良いと思います。
ファンの音については、まったく気になりませんでした。もしかしたらCPUファンがうるさいせいでかき消されているだけかもしれませんが...
マザーボード
GIGABYTE B660M DS3H DDR4
¥12,980(2022/9/26時点)
選んだ理由は
- メモリスロットが4本
- USB Type-Cコネクタを搭載
- 低価格
だったのが決め手です。
メモリスロットが4枚なので将来的にメモリを増設することも可能ですし、Type-Cコネクタがマザーボードについているので、別途拡張カードなどを購入しなくても公式oculus linkケーブルによる有線接続ができます。
linkケーブル(1万円) 私はAir linkなので使っていません...
UEFIは至って普通でした。初期設定のままで問題ないと思います。
ただ、説明書が薄い紙だけだったので組み立ての際は少し戸惑うかもしれません。
マザーボードの箱にピン折れ保証のシールが貼ってあったので、万が一のときも安心です。(取り付けは慎重に)
メモリ
G.SKILL DDR4-2666 16GB(8GB×2)
¥5,390(2022/9/26時点)
(予算の問題で16GBですが、32GBの方がオススメです)
メモリの速度には特にこだわりがなかった為、ドスパラで最安値だったDDR4-2666の8GB2枚組を購入しました。
5,390円という価格でしたが問題なく動作しています。
SSD
シリコンパワー SSD 512GB
¥5,980(2022/9/26時点)
こちらも安価だったものを購入。M.2 NVMe PCIe3.0接続のSSDです。
VRChat以外に特にゲームを入れる予定がなかったので512GBをチョイス。最近は1TBのM.2 NVMe SSDも1万円ちょっとで購入できるので、用途に合わせて選びましょう。
CrystalDiskMarkでのテスト
電源ユニット
ASUS TUF-GAMING-650B
¥6,980(2022/9/26時点)
ASUS TUFの安心感。標準で6年保証がついているのがナイスです。
プラグイン式ではないことがデメリットですが、結局ケースの裏に隠れてしまうのであまり気になりませんでした。
ドスパラはちょくちょく在庫切れになっているので、在庫が復活したタイミングでポチりましょう。
CPUグリス
親和産業 SMZ-01R(猫グリス)
¥715(2022/9/26時点)
せっかくの自作ということでグリスを別途購入。最近話題の(?)猫グリスです。ステッカーもついてきました。
正確な検証は出来ていませんが、きちんと冷やしてくれている気がします。
PCケース
Deepcool MACUBE 110 ホワイト
¥4,618(2022/9/26時点)
安価で白いMicroATXのPCケースです。中の塗装は白ではなく黒になっていて、端子はUSB3.0が2つとオーディオ端子があります。
質感がペラペラしていますが、軽めなので私は好きです。
裏配線もしやすく、楽に組み立てられました。
地味にGPUを支えるステイがついています。(3連ファンGPUの長さでないと届きません)RTX 3070以上のGPUを搭載するときに便利そうです。
OS
Windows 11 Home パッケージ版
¥16,268(2022/9/26時点)
パーツ紹介(オプション・周辺機器)
Bluetoothアダプタ
TP-Link Bluetooth USBアダプタ
¥1,190(2022/9/26時点)
今回購入したマザーボードにはbluetooth機能が無い為、別途USB接続のbluetoothアダプタを購入しました。キーボード/マウスなどを有線接続する場合は問題ありませんが、bluetoothを使おうと思っている方はマザーボードにbluetoothがついているか要確認です。
LANケーブル
サンワサプライ フラットタイプ CAT6 10メートル
¥691(2022/9/26時点)
実際にプレイしてみる
ここからは実際にVRChatをプレイしてみた感想となります。
ワールド・アバター等によってFPSは左右されるので、あくまでも参考程度にお願いします。
デスクトップモード・VRモードともにプレイしてみました。
VRChat (デスクトップモード)
環境
- VRChat、タスクマネージャーのみ起動
- 27インチモニター 4K/60Hz
- フルスクリーン
- ワールドはメタフェス
- プレイヤー20人
人が密集しているところに行ってデータを計測しました。
結果
- 体感60FPSほぼ張り付き
- GPU使用率 50%~70%
- VRAM使用量 6~7GB
- メインメモリ使用量 10GB~11GB
デスクトップモードでは上記の環境で快適にプレイすることができました。
ただ、使用状況を見てみると若干メインメモリに不安があります。やはり32GBに増設したほうが良さそうです。
VRChat (VR HMDモード)
環境
Air link・SteamVR・Oculusアプリのグラフィック設定
OculusDebugTool(ODT)の画質向上チューニングは行っていません。(Performance HUDを見ながら試したのですが断念しました)下記の設定含めよりよい設定方法がありましたら、コメントいただけるととても助かります。
- ダイナミック(200Mbps)
Steam VR設定
PC Oculus設定
- リフレッシュレート 120Hz
- レンダリング解像度 自動
プレイヤー ~5人
※quest単体の頃の写真
quest単体プレイではこの人数でもカクつくことがありましたが、PC+questになってからは安定して動作しています。この人数で遊ぶには十分すぎる性能です。
プレイヤー 10~20人
小・中規模集会やフレンドの方とワイワイ遊ぶのがこの辺りだと思います。
15人ほどの集会に参加した所、高FPSを維持し、VR酔いを起こさずに快適にプレイすることができました。体感ですが60FPSを維持できている感じです。
シェーダーやパーティクルが多いワールドでは若干FPSが落ちることがありましたが、概ね問題ない印象です。
SteamVR対応のソフト「XSOverlay」を使用してプレイ中のGPU・メモリの使用率を確認してみました。
結果
- GPU使用率 70%~100%
- VRAM使用量 8GB~11GB
- メインメモリ使用量 8GB~13GB
今回の構成ではこのラインを快適に遊ぶことを目標にしていたので、満足な結果になりました。
プレイヤー 30人~
大規模な集会になってくると30人を超え、その分PCの要求スペックも上がります。
詳しい検証ができておらず申し訳ないのですが、最低でもRTX 3060、快適に遊ぶなら3080以上のグラフィックボードがベストだと思います。
VRChat VRモードまとめ
RTX 3060とcore i5 12400Fでは大体10~20人までは快適に遊ぶことが出来ました。
Air linkを使用した無線接続だったため遅延が心配でしたが、フレンドの方とプレイしている際も違和感なくコミュニケーションが取れ、動作にも問題がなく安心しました。
VRChatとUnityを起動しながらアバターのテスト
環境
- ワールドはVRChat Home
- デスクトップモード
- プレイヤーは自分のみ
- VRChatとUnityを同時に起動し、アバターのローカルテストを実行
VRChat内でアバターを使うには、Unityからアバターをアップロードする必要があります。
しかし、アバター改変の際「編集中のアバターをVRChat内で確認したい!」となった時にいちいちアップロードするのは面倒です。
ここで、便利な機能を使ってみます。UnityとVRChatを同時に起動し、編集したアバターをVRChat内でローカルテストできる機能があります。今回はこの作業がスムーズに行えるか検証してみます。
結果
メモリが16GBで少し不安があったのですが、処理が滞ることなくスムーズにVRChatにテストアバターが反映されました。ただ、将来BlenderやPhotoshopなどを同時に起動するとなると不足するので、マルチタスクをこなす・VRChatで大人数で楽しむならメモリ容量は32GBが安心です。
VR用PCを組んでみて分かったこと
プレイスタイルを想像しておく
VRパソコンを揃える前に、自分はVR空間の中でどのように遊びたいのか?どのくらいの人数で遊びたいのか?というのをおおまかに決めておくと、パソコン選びがとても楽になると思います。スペックが足りなくなることもあると思いますが、足りなければ比較的自由に換装したり追加できるのが自作・BTOのいいところです。
でも繰り返しにはなりますがメインメモリは初めから32GB積んでおいたほうが安心です。マジで。
さいごに
今回は第12世代core i5とRTX 3060でVRChat用PCを組んでみました。
RTX 4000番台とzen4の発表、そしてintel13世代?と、新製品発表にワクワクする毎日です。
VRは高性能・高価格なPCがないと遊べないものだと思っていましたが、技術進歩によりVRを満足に遊べるPCが安く組めるようになっていることには驚きました。
まだ始めたばかりのVRChatですが、これからも楽しんでいきたいです。